タイヤには車両の車重を支え、駆動力・制動力を伝える働きや、乗り心地性能を高めることなど、操縦性・安定性能の大切な役割があります。空気圧の点検やタイヤの残り溝、タイヤのひび割れの点検などは定期的に行ってください。特にタイヤの空気圧は自然に低下するので車両のドア付近に表示されている指定空気圧量を定期的に点検してください。正常なタイヤでも一ヶ月に約10〜20kPaくらいの低下があると言われています。
タイヤの保管方法も雨や直射日光の当たらない場所(高温・多湿は避けます)で、油・石油・灯油のそばには置かないようにし、タイヤを立てて保管するのが一番良いでしょう。タイヤがホイールに装着したまま保管する場合は、タイヤの緊張を和らげる為、空気圧を使用時の1/2程度まで下げて保管すると良いでしょう。
タイヤの空気圧が高めだとブレーキの制動距離が伸びる傾向があり、低めでも車種によっては制動距離が伸びることがあります。時速50km/hで急ブレーキをかけた時、空気圧が高め(規定空気圧約+30%増)の場合、最大70cmくらい制動距離が伸び、低め(規定空気圧約−30%減)の場合でも最大20cmくらい制動距離が伸びる可能性があります。
燃費も空気圧で変わり、タイヤの空気圧が高いとあまり変化はありませんが、逆に低め(規定圧の約40〜50%減)だと、約10%〜15%程度の燃費の悪化が予想されます。また、タイヤが異常発熱し、最悪の場合バーストの危険性もあります。それに加え、タイヤの空気圧が高くても、低くてもタイヤの異常磨耗が起こりタイヤの寿命を短くします。
これらを見ても、空気圧が高いと制動距離が伸び、逆に低いと燃費が悪くなりバーストの危険性が高まることや、タイヤの寿命を短くするなどのリスクがあることが分かるでしょう。やはり規定の空気圧に設定するのが一番安全と言えます。
最近では扁平タイヤ(扁平率の低いタイヤ)が増え、タイヤの厚みがない分、『パッ』と見た時、空気が抜けていることに気づきにくくなった原因になっています。車のドレスアップでタイヤのインチアップをする車が増え、扁平タイヤを履く車が増えてきています。また、パワーステアリングの普及もあり、パワーステアリングのない車ならタイヤの空気圧が低くなれば、ハンドル操作が重たくなるので気づきやすいのですが、パワーステアリング装着車はパワーステアリングが壊れていない限り、ハンドルが軽いので気がつきにくい原因のひとつになっています。定期的なタイヤの点検を心掛けましょう。
スタッドレスタイヤの履き潰しをしたことがあるという方は多いと思いますが、実は夏場のスタッドレスタイヤ装着で交通事故が急増しています。これはスタッドレスタイヤの普及により夏場のスタッドレスタイヤの装着率が年々増えているからです。そこで濡れた路面でのラジアルタイヤとスタッドレスタイヤの制動距離を比較してみましょう。
また、コーナーリング性能(乾燥路面)では、半径10メートルの円内を旋回できる限界速度を調べた所、 夏タイヤは約時速35kmが限界走行で、スタットレスタイヤは約時速26kmが限界走行でした。こうした性能差はスタットレスタイヤのゴム質の柔らかさや溝の深さが影響しており、溝が深くなるほどその差は大きく現れることがわかっています。このことからも安全性を考え、夏はラジアルタイヤを履き、冬はスタッドレスタイヤを履くようにしましょう。
タイヤ一本一本に刻印されています。これは製造年月日ではなく製造年週で、製造番号の内、下4桁が製造年週となります。例えば製造番号の下4桁が『1105』なら、この数字が製造年週となり、読み方は前の数字2桁『11』が週を表し、後の2桁『05』が年を表します。このことから『1105』を読むと「2005年の11週目に造られたタイヤ」ということがわかります。
また、2000年以前はこの数字が3桁で表されていて、前の数字2桁は同じく製造年周で、後の数字1桁が年を表しています。例えば、製造番号の下3桁が、『239』なら、「1999年の23週に作られたタイヤ」となります。
応急タイヤを必要としないタイヤがあります。サイドウォール部(注1)のゴムが厚く補強されているので、万が一パンクして空気圧がゼロになっても走行できます。
そのタイヤのことをタイヤの総称で、ランフラットタイヤといい、英語でパンクしたタイヤを指します。しかし、ランフラットタイヤは普通タイヤの約2倍〜3倍ぐらいの値段なので、主に高級車に装着され、空気圧の低下を検知して知らせる内圧警報装置(注2)と組み合わされるのが一般的です。
四輪駆動車で前輪と後輪で異なるサイズのタイヤを装着するのは非常に危険です。前輪または後輪のいずれかに指定外のタイヤを使用した4WD車で車両火災が発生しています。これは前後のタイヤの経が異なると、デフ(注1)やトランスファ(注2)に回転差が生じるために発生します。ギア内の過大な負荷で摩擦熱が増加し、走行中にギア内が加熱状態になり、最悪の場合は発火または走行不能になってしまうのです。
これは異なるタイヤサイズを装着した時だけでなく、タイヤ交換時に二本だけ新品にしたり、タイヤメーカーや銘柄、タイヤパターンの違いでも最悪車両火災になる場合があります。4WD車のタイヤは前後ともに指定サイズのものを履くようにしましょう。